日本とは異なる文化や価値観を持つドバイ。豪華なライフスタイルを楽しめる人気の観光地としての一面を持つ一方で、この都市にはイスラム法に基づく厳格なルールも存在します。知らなかったでは済まない現地のルールを知らないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。この記事では、イスラム文化を理解し、尊重しなければいけないドバイならではのルールをご紹介します。
知らないと危険!イスラム法が定める禁止事項
ドバイを旅行する前に、現地の法律やルールについて基本的な知識を身につけて、楽しい旅行のために渡航前の確認をしっかり行いましょう。ドバイにはイスラム法によって定められた規制があり、独自のルールが存在していますので注意が必要です
飲酒の制限
お酒は許可された場所以外では飲めません。21歳以上の人が、ホテルやレストランなど決められた場所で楽しむことができ、旅行者にも一定の配慮がされています。しかし、街中で飲んだり酔って歩いたりすることは固く禁止されていて、見つかると厳しい処罰や拘留を受けることがあります。
消費者保護法の罰則
2023年10月に施行された最新の消費者保護法では違反をすると、軽い場合は罰金で済みます。しかし、重い場合は国外退去や懲役刑になることもあります。最高200万ディルハムの罰金と、2年の懲役が科せられる可能性があります。
この法律は、消費者が宣伝通りでない価格を支払ったり、欠陥商品を受け取った場合に申し立てが可能となるもので、観光客もこの法律の保護の対象に入ります。
イスラム文化に関する配慮
イスラム文化では物の受け渡しは右手を使うのが基本で、左手は不浄とされているため使わないようにします。足の裏を見せるのも失礼になります。汚れや不浄の象徴とされ、他人に足の裏を向けることは、相手に対する侮辱や軽蔑を示す行為と見なされます
ラマダンの期間中は、昼間に公共の場所で飲み食いすることが禁止されています。観光客も同じルールを守りましょう。
お祈りの時間帯は静かに過ごすのがマナーです。特に金曜日は大切な礼拝の日なので、多くの店が午後まで休みになることもあります。現地の人との会話では宗教についての議論は避け、相手の信仰を尊重する気持ちを忘れないようにしましょう。
観光客が知っておくべき禁止事項
ドバイ観光では思いがけないところで規制違反をしてしまう可能性があります。事前に注意点を把握して、安全に観光を楽しみましょう。
SNSと写真撮影
役所や軍の施設、お祈りする場所は撮影が禁止されており、SNSに投稿する際も、現地の文化や信仰を傷つけないよう細心の注意が必要です。
写真撮影には細かな規制があり、他人を無断で撮影すると最大50万ディルハム(約1,800万円)の罰金が科せられます。特に女性を撮影することは厳重な処罰の対象です。政府施設や軍事施設、モスクなども撮影禁止区域として定められています。
SNSへの投稿で、事故現場などの写真投稿は最大300万ディルハム(約1億2000万円)の罰金となります。
公共の場での服装と行動
モスクでは、女性はアバヤ(伝統的なローブ)と、髪を隠すためのスカーフやヒジャブを着用する必要があります。男性も同じく長袖シャツと長ズボンを着用することが基本的なルールです。
シェイク・ザーイド・グランドモスクでは、以前は無料貸出をしていましたが、現在は行われていないため訪問者は事前に準備をしておきましょう。モスクの訪問を計画する際には、適切な服装を用意することをお勧めします。
靴もつま先が隠れるものを履き、つま先が見えるビーチサンダルやサンダルは履かないようにしましょう。
その他の罰則
あらゆる公共交通機関での規則も厳格で、すべての飲食が禁止されており、違反すると100ディルハム(約4,100円)の罰金が科せられます。居眠りも禁止行為とされ、発見されると罰金の対象となります。
横断歩道以外の道路を渡ると400ディルハム(16,560円)の罰金が科せられるので、必ず決められた場所を渡りましょう。
喫煙も指定された場所でのみ可能で、違反すると最高500AEDの罰金が科せられます。ゴミのポイ捨てに対して厳しい罰金が科されます。
病院でもらった薬を持ち込む時は必ず許可を取る必要があり、違反すると厳重な処罰の対象となることがあります。
ドバイでは、文化的な配慮が必要で、街中では礼儀正しい振る舞いを心がけて周りの人に失礼にならないよう気を配ることが求められています。
現地の文化や宗教を侮辱する行為は重大な違反とみなされ、即座の逮捕や国外退去処分となる可能性が高いので注意が必要です。観光客は必ず現地の法律と文化を理解し、敬意を持って行動することが求められており、事前の準備が大切になっています。
カップルと女性の気をつけるべき基本マナー
ドバイでは男女で異なる注意点があります。また状況によって守るべきルールも変わってきます。イスラム文化に基づく大切なポイントをご紹介します。
公共の場での愛情表現
ドバイの公共の場では、愛情表現に関する厳しい決まりがあるので気をつけましょう。キスやハグといった親密な行為は禁止で、守らないと最短6ヶ月の拘束処分になる場合があります。観光客であっても現地のルールを守ることが求められています。
2020年からは未婚のカップルが一緒に暮らすことは認められましたが、街中での行動は慎重にする必要があります。ホテルでは結婚証明書の提示を求められることがありますので、ご夫婦は持参するとよいでしょう。
女性観光客の注意事項と対策
特に、女性の旅行者は服装への配慮が必要になります。モスクなどの宗教施設に入る時はスカーフやヒジャブを被って手首以外を隠し、アバヤを着る決まりがあります。
一般の観光地では、外国人の場合、短パンやノースリーブなどの服装は許容されていますが、できるだけ肩や膝を隠す服装を心がけること。水着の着用はプールやビーチエリアに限定されています。
ドバイはアラブ首長国連邦の中でも特に治安が良い都市として知られていますが、夜に一人で出歩くのは避けましょう。タクシーなら女性専用のピンクタクシーが便利です。
要注意!罰金対象になりやすい行動
ドバイには日本では考えられないような独自の規制があります。知らずに違反すると高額な罰金を科せられる可能性があるので注意が必要です。
車の管理に関する厳格なルール
ドバイでは車の外観にも気を配る必要があります。車体が目立って汚れていると最大500ディルハム(約2万円)の罰金を科せられることがあります。スピード違反をすると最大3,000ディルハム(約12万円)の罰金に加えて、車両を没収される場合もあります。
飲酒運転は特に厳しく、わずかな量でも見つかれば即座に逮捕され、免許取り消しや拘束処分になります。また、駐車違反も厳しく取り締まられ、指定場所以外の駐車は即座にレッカー移動の対象となります。
お酒・嗜好品に関する制限
一般の場所でタバコや電子タバコを吸うのも制限があり、決められた場所でしか吸えません。ラマダン中は昼間の飲食が制限されるので、観光客も決められた場所で飲食をする必要があります。
お酒は許可された場所以外では飲めません。街中で酔っぱらっているところを見つかると、すぐに逮捕されることもあります。飲酒に関する規則は特に厳しいので、十分な注意が必要です。
金銭や寄付に関する規制
現金を持ち込む時は気をつけましょう。60,000ディルハム(約240万円)以上の現金は必ず申告が必要です。申告せずに持ち込むと違法になり、お金を取り上げられたり罰金を払わされたりすることがあります。許可なしの寄付活動や募金活動も禁止されています。
不正な金融取引や不法な送金は重い処罰の対象で、最悪の場合は国外退去や刑務所に入れられることもあります。クレジットカードの不正利用や偽造も重大な犯罪とされ、厳しく罰せられます。
安全に観光するための事前準備と緊急時対応
ドバイ観光を楽しむためには、事前の準備と現地での注意が欠かせません。トラブルを避けるための具体的な対策をまとめました。
事前準備で防ぐトラブル対策
パスポートは残り有効期間が6ヶ月以上必要なので、早めに確認しておきましょう。処方箋の薬を持っていく場合は、医師の診断書と処方箋の英訳を用意する必要があります。
病院にかかる時は多くの場合、英語での対応が可能です。医療費は高額になる可能性があるので、十分な補償内容の海外旅行保険に入っておくことをお勧めします。
現地での具体的な注意点
街中では常に周りに配慮した行動を心がけましょう。ショッピングモールや市場ではスリや置き引きに気をつける必要があります。
横断歩道以外の道路を渡ると400ディルハム(16,560円)の罰金が科せられるので、必ず決められた場所を渡りましょう。基本的なルールを守れば、安全に観光を楽しむことができます。
緊急時の対応方法
困ったことが起きたら、すぐに在ドバイ日本国総領事館(+971-4-331-9191)に連絡してください。警察に通報する時は999番です。
現地の緊急連絡先や滞在先の情報は常に手元に置いておくと安心です。トラブルは予期せぬタイミングで起きることがあるので、いざという時の備えを整えておきましょう。
まとめ
日本とは大きく異なるドバイの文化やルール。一見厳しい規制が多いように感じるかもしれませんが、これらは現地の文化や習慣を大切にする気持ちから生まれたものです。
日本では体験できない独特の文化に触れることで、新しい発見や学びが得られるはずです。ドバイならではの魅力を存分に楽しみながら、異文化交流の素晴らしい思い出を作ってくださいね。
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